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November 20, 2009
湯島「楽」で秋冬味を満喫
思い出し日記。10月31日土曜日。『純米酒BOOK』のデザインを担当してくれたダブルオーエイトのふたりに御礼会食。湯島・楽さんを予約。この店は料理人であり店の主である長谷川さんが一人で料理を担当。ガツンと精魂込めた料理もさることながら、日本酒もワインも趣味よく揃っているのが嬉しい。
写真は日本酒冷蔵庫の一部です。『山本』もいるいる。お燗を頼むと温度ドンピシャにつけてくれます。長谷川さんはソムリエでもあります。
野菜を食べたいとリクエスト。”白酢あえ” 小松菜、白きくらげ、大根、天然舞茸、柿。
乾杯は泡モノで。王祿酒造の出雲麹屋。
楽さんの特徴は酒の肴が多種多様で出てくること。長い時間をかけて発酵させたものや、発酵調味料をきかせたものなど、一口でパクリといくには勿体ないような複雑な味わいのものばかり。
お酒をかけて焼いた唐墨、とうくろう銀杏、ヒラメの肝、山葵葉、牛蒡、蓮根など。
そしてお刺身はひと切れずついろいろな魚種が登場。白身は昆布〆で塩がふってあります。それぞれ、さっと湯びきしてあったり、隠し包丁が入っていたり。黒いのは海藻を固めたもの。
マコガレイ、ほうぼうの昆布〆、ヒラメ、タイラ貝、白いか、金目、鯛、鮪。
大切に噛み締めていただくことで、魚の味の違いをじっくり考えたり、その魚のエサがなんであるかを感じることも。魚はモチロン天然のみ。聞けば産地を即答してくれます。なぜ、その魚を選んだのか理由があるのです。ひと切れから海を想像。
名物、楽の茶碗蒸し。出汁に命をかける長谷川さんが1週間かけて作るという凝った出汁。フルフル仕上げ。具は一切入っていません。黒胡椒のみ。出汁を味わう茶碗蒸しです。
そして自家製干物。あえて小さな鯵”黄金鯵”。大磯ロングビーチの前で捕れたねつき(回遊しない)の鯵で、ぜいごが金色。きれいな味!
京都で修行していただけに、かぶら蒸しも上手! ふんわりとろけるかぶの醍醐味。原木椎茸を組み合わせて。かぶら蒸しは大好きですが、自分ではぜったい作れないと思う味です。
醸し人九平次、開運、東北泉、王祿などを冷やでお燗で。
途中、豆腐の味噌漬け(味噌4種類に和芥子でコクを出し、4ヶ月間漬けもの。絶品)を出してもらい、まだまだ飲めそうに。
ご飯は焼きおにぎりに出汁をたっぷり注いだ椀仕立て。飲んだあとに嬉しい熱い汁です。海苔が香ばしくいいにおい。
冬の味を一足早く、かぶら寿司。長谷川さん自慢の一品です。1ヶ月間、発酵させてあり、天然の酸味とうまみがぐわ〜っと満ちて。発酵力ってスゴい!
さて、「湯島のヨン・キムタク」と自称する長谷川さん。顔にシワがまったくないほどパンパン(笑)。京都修行時代は満足に食べられず、餓死寸前。ガリガリに痩せていたといいます。信じられない!
奥さんの千津子さんが、笑いながら見せてくれた写真。
東京に戻ってきて、とあるホテルの料理長時代の写真
真ん中の髪の毛が黒々した男性が長谷川さん。ほー。なかなかイケメン。
背後にある氷の彫刻も長谷川さんが手がけたという。「氷は2トン用意してもらって一気に削るんですよ」。
ほーっ。芸達者。
そして、現在の長谷川さん。面影は、ある。
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