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June 11, 2010
松下明弘さんの田んぼ
杉錦醸造元杉井酒造さんと同じ藤枝にある喜久醉さん。せっかく藤枝にきたのだから、そうだ!松下明弘さんの田んぼを見ようと思い立ちました。記憶では確か、鉄塔の真下あたり…と探したら、発見。
松下さんは無農薬無化学肥料栽培で山田錦を栽培(有機JAS認定を取得)。そのお米は青島酒造の「喜久醉 松下米」というお酒になります。それは透明感ある清らかで繊細な味わいのお酒。
おや? 田んぼはあるものの、何も植わっていない。6月5日だというのに。違う場所に田んぼを借りたのかしら…それとも引っ越し!? なわけがないっ。
こちらの田んぼを見ると水が入り、苗の準備が。奥の方に人がいる、松下さん?しばし作業を見守りました。
ほぼ1本植えしています。山田錦ではありません。なんの品種?
松下さんの作業がひと段落したときに、声をかけてみました。
「これは趣味の田植え! 山田錦はこれからっ」
今、植えている苗は古い血筋のお米いろいろだそうです。
「馬力があるよ。これだけ古い血の米はね。非常に少ない肥料成分で育つ」
ご近所の田んぼはすでにアオアオ、ワサワサしています。それと対照的な松下さんの田んぼ。
水入れもまだ…山田錦の圃場。
松下さんが使う肥料は魚系、菜種、米糠、鶏糞、米粉などをブレンドし、充分ねかせて発酵しているそうです。
「土そのものが発酵しているから、いいにおいがする!」
表層の 5cmしかおこさないという。堅い土地だと稲が根をはる努力をする。だから初期はほとんど地上部が伸びてこない。最初に根をのばすから。だからよその田んぼに比べて、地上部はなかなか伸びないけれど成長したらすごいとのこと。
「うちの山田錦は両手でひっぱっても抜けないからっ」抜いた瞬間、後ろにずでーんとひっくり返るという。だいの大人が。
松下さんの山田錦は「容積重が違う」という。「でんぷんの密度も違う」という。ただしその分、麹菌は入りにくい。青島酒造の先代杜氏に米づくりに関して言われたことは
「よくしまった米を作れ、しまった米ほどもろみの中で最後までふんばる。いい酒になる!」
しまった米をつくるために、肥料をほとんどやらない、間隔を広げて植える。米の仕上がりを妄想に近い!?イメージをつくって実践。毎年、時間をかけて方法論を確立し、15作目に。
松下語録
「勝手に育てっ! そうじゃないと死ぬからな。腹くくって生きてけよ!と突き放して育てる。向こう(稲)も、この野郎!っていきごんで育つ」
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「作るのに困らない、売るのに困らない、全然困らない農家さんだねと、ある人に言われた。100人に1人いるらしい。全然困らない農家が!」と豪快に笑う松下さん。
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とはいえ、15年前は試行錯誤。苦労の連続
「除草剤ひとつやめるのに、どれだけ環境を研究したか」
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「山田錦!こんなに面白い米はないね。欠点だらけ! わがままで作りにくい。どうなるかわからない。ましてや平地の暑い静岡でね!」
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「俺のことを理解してくれる人は一生いないとふてくれされていた20台の頃、孝さんに会った。そしてアンコメに会った」 孝さんとは青島酒造の蔵元杜氏、青島孝さんです。
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松下米は一反あたり5俵半の収穫量。それ以上増やす気はないという。
品種により苗の色が微妙に違います。左から、ひのひかり、いただき、山田錦3列、いただき。
静岡県藤枝に落ちる夕日。
田んぼ、蔵元。酒屋万流。農家も万流。勉強になる一日でありました。
松下さんのお米を扱う安東米店=通称アンコメさん。わかりやすい選びやすいHPです。松下さんのことも紹介あり。
*アンコメ米作りプロジェクトも始動!
いいものを作っても、それを理解する人がいなければなりたちません。松下さんは青島酒造+アンコメさん→そして消費者と、いい連携プレーができています。この先、ますます楽しみな藤枝トライアングル!
Topics: ご当地もの, 日本酒 | No Comments »