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January 1, 2011
お正月は米の酒を屠蘇酒で
aff新年号
「屠蘇はもち米の味醂で」
お屠蘇をテーマに書く事になり、「屠蘇酒」を造る白扇酒造の加藤孝明さんに お話を伺いにいきました。11月27日
白扇酒造は飛騨川にほど近い加茂郡川辺町。江戸時代後期に味醂屋として創業し、明治期より酒造業を開始。味醂、清酒、米焼酎を醸造しています。
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affより
お正月の浮かれた気分を「おとそ気分」といいますが、正月の酒ならなんでもお屠蘇と思ったら大間違い。
お屠蘇と呼べるのは、生薬を配合した屠蘇散を入れたお酒だけ。
一年間が健康で過ごせる(と言われる)薬効 あらたかな薬酒がお屠蘇なのです。「酒は百薬の長」といいますが、その長の中でもトップはお屠蘇。良薬は口に苦しどころか良薬なのに口に甘い。
↑お蔵の庭。樹々が紅葉。
お屠蘇は味醂か日本酒、もしくは両方半々に、桂皮、山椒、生姜、山梔子などの生薬を六種類ほど漬けて造ります。
生薬は酒のアルコール分によって抽出され、他の生薬と合わさって効き目がアップ。選ばれし生薬は20種類以上ともいわれます。
屠蘇酒は中国で生まれ、平安時代に宮中行事として定着しました。今でも宮中では初詣にあたる四方拝の行事のあと、お屠蘇をいただく習わしだそうです。
「お正月、床の間に飾る鏡餅は、蛇がとぐろを巻いている姿なんですよ」と白扇酒造の加藤孝明社長。
「昔から蛇は神様のお使い。鏡餅を真上から見ると同心円でしょう、これは蛇の目です。蛇の目は日本酒のきき酒に使う、きき猪口の底にも描かれているように魔を払う力があるのです」
白扇酒造では日本酒の他に、味醂、焼酎を醸造する蔵で味醂の屠蘇酒も販売しています。
昔から年末になると味醂に屠蘇散をおまけでつけていましたが、だんだん作る人が減り、お客さまの要望で屠蘇酒を造るようになったとか。
近年、「みりん」というと時間とコストをかけない簡易的な造り方がほとんどですが、白扇酒造は昔ながらに日本酒造りから手がけます。
日本酒は蒸留して米焼酎にし、そこへ米麹と、蒸したもち米を入れて味醂もろみを造ります。そのもろみを90日間かけ、ゆっくりとタンクで発酵。
焼酎の中でもち米がじんわり溶 け、うまみを含んだ甘みに変化。「焼酎の中で甘酒を造ってるようなもの」と加藤さん。発酵が終わった味醂もろみを絞り、さらに味わいが丸くなるまで3年間熟成させています。
ハレの日にはもち米、味醂を飲んで
伝統的な製法を頑に守った味醂は、とろりと香ばしく極甘。「昔は飲むもので、婦人のナイトキャップでした」と加藤さん。
複雑なうまみが層をなし、白砂糖ともメープルシロップとも違う爽やかで濃厚な甘み。後口がいいのは米由来だから。
米と共に生きてきた日本人には、米を糖化させる食文化があったのです。
手間と時間をかけた熟成味醂ですが意外に安価。「米代も高くて、手間もかかって、これがお酒だったら大吟醸並に頂戴したいところですが(笑)」500mlで 766円と良心的。毎日の暮らしに使ってほしいという思いが込められています。
お屠蘇は味醂にこだわる加藤さん。
「ハレの日の食事は餅や赤飯など、必ずもち米。新年のお屠蘇にふさわしいのも、もち米からつくる味醂だと思います」。
代々伝わってきた風習や行事。合理化という名の下になくしてしまうのは簡単ですが、先祖代々が経験値で受け継ぎ、時間に磨かれ、良いものだけが残っているのも事実。
お屠蘇は身体を温め、血行を良くし、胃腸の働きを整えます。風邪予防にもなって合理的な面も。
元旦の朝、家族揃ってお屠蘇をいただく。
年明け一番の米の酒には深い意味があるようです。
冬のごちそうですね
冬のお天道さまのお力添え
白扇酒造さんのお店。福来純本みりん、日本酒のほか、「本直し」、「柳影」と国内で絶滅寸前のお酒も。
戦国バサラのお酒もあり。加藤ご夫妻。
奥様が「そのまま食べておいしいから!」と力を入れる大吟醸の粕「馥」。冷凍で販売。スプーンですくって食べると甘くとろ〜りクリーミィ!アイスクリーム感覚。(右)そしてすっきりジューシィきれいに仕上がった「新酒1号」
「本直し」そして花美蔵の10年古酒。
(右)本みりんの小さいボトル。これがあれば砂糖いらず。スーパーで売っているなんちゃってみりんとは月とスッポンほど味が違います。香ばしい鼈甲飴風味。みりんの出来立ては甘みがとがっていますが、3年熟成させることで穏やかに円熟するのです。
(左)そして、その本みりんをさらに10年も寝かせた古々味醂。(右)味醂の屠蘇酒 180ml 420円
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