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May 8, 2008
上原先生のお墓参り〜諏訪泉ケッタイな酒
伯父にお線香をあげた後、鳥取市へ移動。2年前の5月1日に亡くなられた上原浩先生のお墓参りに行きました。場所がわからなかったので諏訪酒造の社長、東田さんに尋ねると「ご案内しましょう」と心よいお返事が。
鳥取市郊外の小高い山の上に、上原先生のお墓はありました。「酒は純米、燗ならなお良し」という先生の言葉は純米酒界ではつとに有名。
上原先生は尾瀬あきら先生の漫画「夏子の酒」に登場する上田先生のモデルになったお方。「極上の純米酒ガイド」、「純米酒を極める」など著書もたくさんあります。わかりやすい言葉で多くの意味あることを語ってこられました。「先生は妖怪だから、300歳まで生きるんじゃないか」と噂されましたが、残念ながら人間でした。
最後にご一緒させてもらった時に、発泡にごりを燗酒で飲むという妙な場面がありました。「これはのぉ、悪くないぞ。でものぉ、ケッタイな味じゃのぉ」とクシャクシャ笑いながら言われた声が、今も耳に残っています。
お墓参りのあと、そのケッタイな発泡にごりを醸す諏訪泉・諏訪酒造さんへお邪魔しました。
蔵内に「梶屋」というお酒の販売コーナーと、食事処を併設しています。そこで諏訪泉のスタンダード「満天星」(=お花のドウダンツツジの漢字名。智頭町の町花)を、東田さんのお酌で、モチロンお燗で、上原先生の名言つき盃でいただきました。しみ入ります。
大吟醸「鵬」の酒粕を使った酒粕入りのうどんが名物ですが、東田さんのイチオシ新メニューは「素ラーメン」。これは、蕎麦出汁にラーメンの麺を入れるというもので、鳥取市役所の食堂と、鳥取市内の武蔵食堂にしかないという知る人ぞ知る(知らない人はまったく知らない)地麺です。
「梶屋」の売店カウンターでは試飲も楽しめます。また、酒以外に調味料もあり「純米酒を楽しむには調味料から」と、まともな味噌、醤油、みりん、塩なども販売。
これがケッタイな酒、燗酒でもうまい!?(試さないでください)「諏訪泉 純米生 蔵出しにごり酒」きれの良い活性酒。日本酒のスパークリングです。
諏訪泉がある智頭町は林業で栄えた杉の町。町からさらに山に上がったところに ”板井原集落” という、手つかずのまま昔が残った集落があります。大八車の幅しかない道、土壁、木造の民家、懐かしい風景が、時が止まったかのように残っています。
板井原集落は標高が高いため、道中、藤の花が眼下に見下ろせて感動でした。藤はつる性なので、いろんな木にからみついて咲きます。いろんな木になりすまして咲くのが面白い! 中国自動車道はそんななりすましの藤の大木でこの季節はいっぱいです。
夕日を浴びて美しく咲く、満開の藤の花に出会いました。 山で咲く藤が間近に見ることが出来て幸せ。
たわわ、たわわ。まるでぶどうの房のようです。どんなワインができるかしらと夢みたり。
広葉樹の木にからまっているのですが、もとの木が何かわかりませんね。藤に乗っ取られたの図。
藤の花は板井原集落から町へ降りる途中で撮影しました。眼下を見下ろすと、遠くの川が光って見えます。標高の高さがわかりますね。すごいところに集落があったもんです。
↑板井原集落の説明看板
日も暮れました。ケッタイな蔵出しにごり酒を持って、再び宝塚の姉の家へ。
姉夫婦、とくに義兄の光男さんは大のビール党! 普通の酒ではウケが悪かろうと思い、スパークリングを選びました。これならビール党でもスルスル飲めるかと。それでウケたら別の酒へ誘導じゃ。けけ。
活性したお酒は、栓を開けては閉めてを繰り返し、飛び出さないようにして、少しずつ開ける必要があります。いきなり栓を開けると、F1のシャンパンふりかけ状態に。栓を緩めて空気を入れると、シュワシュワきゅるるると元気よく弾けだしました! これは期待大!
お酒の説明です。荷造り用の紙がいい感じ!
ひと口飲んだ姉ダンの光男さん「これは危険な酒ですねえ」と笑顔。それくらいおいしいと。やった〜。純米酒ファンget! d(>_・ )
すると光男さん「学生時代にこれと同じような酒を飲んだことがある。めっちゃおいしかった」と、思い出酒を語り始めました。「蔵元の息子で、こんな風なにごった酒を、下宿に持ってきて内緒で飲ませてくれた」と。へえ〜。どこの蔵?と聞くと、島根の蔵で若林さんという。
やまよ「若林さんといえば温泉津(ゆのつ)にある開春という蔵元が、若林さんだけど。」
光男さん「蔵の名前はわからんなあ。名前でしか呼んだことないからなあ」
やまよ「私が知ってる若林さんは、眉が立派」
光男さん「おぉ、僕の知ってる若林も眉が立派! そうだアルバムに写真があるっ」
アルバムを見ると、若き日の若林さんがはにかみながら微笑んで。わ〜っ。ワカバヤシさんだ。若い。素直な笑顔。感じがいい(笑)
退色したカラー写真は、新入生の神輿かつぎの風景。若き若林さんは、上半身裸の上に祭りの法被をふわりはおっている。裸の胸を見せながら。胸が四分割に割れている。ナイスバディだ。自慢か。
姉夫婦は同級生結婚。姉のダンナの光男さんは体育学部。そこに若林さんもいたという。姉とは英語のクラスが2年間一緒だったとか。今、49歳の人たちだから。え〜っと27年前の知合い?「体育の先生になったとちゃうん。お酒つくっとるんや」と光男さんビックリ。
やまよは日本酒が縁で6年くらい前に知りあいました。この偶然は電話して語りたい。やまよが出て、姉夫婦に代わったらゼッタイ面白い! 夜だから蔵にかけても出ない。そこで、大阪の山中酒の店の山中社長に、若林さんの携帯番号を聞き、トルルルとかける。電話に出た若林さんに「ちょっと待ってね」と、27年ぶりの声となる光男さんに代わって驚かせ、姉に代わって驚かせ、新旧の知合い同士で大盛り上がり。なにしろ若林さんは光男さんと姉が結婚したことさえ知らないわけで「なんでそこにおるんかいな」状態。
それにしても開春の若林さん、器械体操のエースだったとはねえ。
「純米 ”大車輪” を出したらどうですか〜(^Д^〜) 」
グルグル回れば酒はもっと売れる! といったけど、あんまりうけませんでした (゚人゚)(-人-)
一本のにごり酒がきっかけとなった新旧のご縁。
まったくもってケッタイな酒! ヽ( ´ー)ノ
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