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April 25, 2012
愛乃澤さんと郷土料理しもつかれ
栃木県が誇る酒粕をたっぷり使った郷土料理「しもつかれ」を調べたくなり、「しもつかれ」の本場、栃木県佐野市の蔵元・相澤酒造の杜氏、相澤晶子さんに連絡したところ、お母さんが大のしもつかれ好き!で、よく作るという。そこで栃木へGO!(3月4日の話です)
ガラリと開けると、左側がお酒の小売スペース。右は畳で火鉢にやかん。懐かしい酒屋さんの風情が。
全国に酒蔵があり、さまざまなご当地、酒粕料理がありますが、この「しもつかれ」ほど素材の組み合わせ、見た目も含めて、類似した料理は”ない”と断言できます。非常に独自!
節分に使った炒り大豆と、旬の終わりのダイコンやニンジンに新巻鮭の頭、できたての酒粕を材料に作る「しもつかれ」。
北関東に広く伝わる郷土料理で、今も盛んに各家庭で作られ、スーパーにも並ぶほどです。
よく考えられた料理で、野菜に豆、魚、酒粕を組み合せて栄養満点であること。
節分で鬼を払った豆の残りを利用すること。節分に供えるイワシの頭に見たてた鮭の頭が「邪気を払う」御利益もあること。「食べると風邪をひかない」のゆえんです。
不思議な料理名 「しもつかれ」の語源は、栃木県の下野国(しもつけのくに)由来説。酢っぱい感じから「すみつかれ」となった説など、地域によってさまざまのようです。
「大好きでよく作る」という相澤酒造の社長、相澤祥子(よしこ)さん。作る時は大鍋いっぱいといいます。全体が混じり合い、ぱっと見ても何が入っているのか、よく分かりません。
「ダイコンが3本も入っているんですよ 」
そのダイコンはニンジンともに包丁を使わず、鬼おろしで粗くおろすのが特徴。
「節分を過ぎると、ダイコンは土から上の部分がふかふかと頼りなくなります。しもつかれはそんなダイコンがおいしくなるんです」
水は入れず、おろした野菜の水分だけでコトコト。「酒粕をたっぷり使うので日持ちもします」。
「しもつかれ」は、作ったときには近所でのやりとり!?も盛んとか。
「お宅もあるだろうけど、うちのも食べてみて〜と持ってこられますね。3軒分くらいはすぐに集まります。でも食べ比べると、やっぱりウチのが一番!って(笑)」
味の決め手はもちろん酒粕。
その酒粕といいますか、お酒を造っているのが、娘の晶子(しょうこ)さん。
栃木県初の女性杜氏です。越後杜氏と南部杜氏の酒造りを勉強し、全国新酒鑑評会で金賞を3年連続で受賞したこともある腕利き。銘柄「愛乃澤」は酒造好適米の山田錦をぜいたくに使った、きめ細かで華やか、上品な味わいです。
お父さんが亡くなり、覚悟を決め、人生をかけて蔵入りした晶子さん。精魂込めて醸す酒はどれも一本芯の通った味。
銘柄はいろいろあれど、母・祥子さんが 「しもつかれ」に使うのは、晶子さんが最も愛す「愛乃澤」の吟醸酒粕と決めています。これで作るときれいな味に仕上がり、「この粕でなくちゃ」と酒のしぼりを心待ちにするご近所さんも多いとか。
「もともとのしもつかれは鮭の塩味と酒粕の甘味だけで、調味料は入れなかったようですが、ちょっと醤油を加えると、これがいい酒の肴になるんです」
いいお酒が背景にあってこその相澤家のしもつかれ。母娘二代の共作。「一番おいしい」のは当たり前ですね。
地震の影響は蔵にも
壁が剥がれ落ちたところは板でおおって応急処置をしています。
●affで紹介しました
お宝!日本の「郷土」食 21 [栃木県佐野市堀米町(ほりごめちょう)]
●相澤酒造株式会社
栃木県佐野市堀米町3954-1 TEL.0283-22-0423
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今号でaffの「郷土食」連載は終了です。
気候風土が生んだ知恵の塊ともいうべき郷土のお宝 ”郷土食”。今後も取材を続けていきます!
これからは「蔵元がつくるお酒のつまみ的・郷土食」を全国各地で聞き取り調査したいと考えています。
発酵の酒にあうのは、発酵食!
こうじの酒に合うのは、こうじからできた調味料の料理!
蔵元の皆さま、これぞという、酒のつまみにもなる郷土の自慢の一品を教えてくださいませ。よろしくお願いしま〜す!
合言葉は「一日一合 純米酒!」
Topics: ご当地もの, 日本酒 | No Comments »