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April 17, 2007
伊豆大島・海の精
自然海塩の草分け「海の精」さんが出来て、30周年!
自然塩といっても、苦かったり渋かったりするものもありますが
「海の精」は料理の味がぴたりと決まり、味にブレがありません。
どのように作られるのか、興味津々 _φ( ̄ー ̄ )
伊豆大島の製塩工場へ見学go! してまいりました。
まずは、海の精mini歴史
昭和46(1971)年、伝統的な塩田が全廃され、すべての塩がイオン交換式というミネラル含有量が極端に少ない化学工業的な塩に替わりました。これに危機感を持った有志の人たちが集まり、自然塩復活運動がスタート。
塩専売法の厳しい壁の中、なんとか研究を続け、会員配布という形で作り続けたのが「海の精」です。平成9(1997)年に塩専売法が廃止され、国産塩の製造販売が自由化となり、「海の精」も自由に販売できるようになりました。
試験製塩として大島の間伏海岸にできたのが1976年。
最初の塩田はたった一坪でスタート。
現在は、千波工場、元町工場と3カ所あります。
「海の精」発祥の地、間伏工場で今、試しているのが写真のバンブーネット。
大島特産の篠竹で編んで作ったもので、篠竹をかるくつぶしてから並べ、ステンレスの針金でまとめた手作りネット。
樹脂製のネットより寿命が長く、仕上がりも上々。
ナチュラルな雰囲気も抜群です。海水も心地よさそう!(^。^)
「自然素材だけで塩を作りたいのです。
なくなりつつある大島の竹畑の保持にも役立ちます」と、社長の村上さん。
海水を天日と風の力で濃縮
汲み上げた海水はポンプを使い、ネットにかけて落とし、循環させながら天日と風の力で濃縮させます。最終的に海水の2倍まで濃縮し、その後、加熱。工程に、マル秘のテクニックがぎっしり!
ぽこぽこと海水が加熱されています。
釜は底が丸い茶釜のような、特殊な専用釜。「海の精」オリジナルだそうです。
釜の中で対流が自然におこるため、
平釜と違って、機械的な攪拌をする必要がないのが利点とか。
火にかけて約5倍に濃縮(これを中間濃縮と呼ぶ。
ここまでは海水の成分がただ濃くなっているだけ)。
中間濃縮した塩水を釜に入れ、少しずつ、一昼夜かけて煮つめていきます。
じゅわ〜〜〜っと熱い熱い塩が
加熱終了後、別の容器に移動。
「海の精の塩は釜で水分を飛ばし切ることはありません。海水の全固形成分が入ると塩は苦味渋みの多いまずい塩になってしまうからです」
なるほど!
思い当たる塩が浮かぶ やまよでありました。\(0\0)_
*ちょっと専門的な話
海水の水分を飛ばしていくと、最初にカルシウム塩が析出し、次にナトリウム塩、最終的にマグネシウム塩が析出します。カルシウム塩とマグネシウム塩の多くは取り除いて製品に仕上げますが、取り除きすぎると、ミネラルの少ない塩になってしまいます。ミネラル分をどれだけ 塩に含めるかかがおいしい塩に仕上げるコツ。そのため、作業中に細かくデータを計り調整します。30年の技術のたまもの。
塩水を煮つめるにつれて、白くキラキラ光る美しい塩の結晶がどんどん析出してきます。塩水の煮つまり具合をデータで管理し、所定の温度で所定のデータになったところで火を止めます(ここがおいしい塩に仕上げるマル秘のテクニック!)
釜の火力は高圧蒸気を使用。狙ったところになった瞬間に火を落とせるのはなんといっても高圧蒸気が一番で、薪や椿油を焚いて実験しても、かなわなかったとか。
火を落としたときに残っている茶色い水分がにがり。
にがりの主な成分はマグネシウム塩で、これが多く含まれると苦くてまずい塩になります。
にがりの茶色は海水中の植物性プランクトンの色で、はじめは緑がかっており、熱が加わると茶色く変化。冬は薄く、夏は濃い色と、季節でも変化するそう。
火を落とした後、一昼夜静置して放熱し、冷めたところで攪拌し、おかゆ状態にしてから遠心分離機でにがりと塩を分離。これを脱汁と呼ぶそうです。
さて、ここからは千波工場の天日温室。太陽の力で天日塩を作ります。
明るく清潔なガラスハウス!
濃縮した海水を入れた金属製の器、素材はなんと! チタン!!
海水は天日を浴び、3月なら2〜3週間で天日塩が完成。
器の中に析出する結晶を毎日へらでかきはがして均一にならすことがポイント。
すべて手作業。釜炊き塩と同様に脱汁のタイミングも重要です。
優雅に見える作業ですが、根気と判断力が求められます。
やまよ (*_*)ゝ「チタンだなんて、高いっ!ですよね」
村上さん ヽ( ̄ー ̄ )ノ
「高いです(笑)ひとつ10万円します。ですが、チタンはステンレスのように錆びる心配がありません。自然海塩は高いという人もいますが、天日温室の設備も高く、道具ひとつひとつにお金がかかっているんです」
チタン製容器だけでなく、天日温室も高いため天日塩は高価。湿度が高く、雨が多い日本では、古来天日塩は作られていなかったそうです。専売法下で試験製塩をした経緯もあり、「海 の精」では天日塩にもチャレンジ。
「天日塩は結晶が大きく育ちやすいため、口に入れたときの溶けぐあいがゆっくりで甘く感じます」(^。^)
海の精3人衆。中央が社長の村上譲顕さん、左が大島育ちの寺田牧人さん、右がオーサワジャパン・日本CI協会を経て加わった花井良平さん。このほか、大工仕事から金属系作業、何でもこなす自動車メーカー出身の技術オトコ、植草秀樹さん4名が代表メンバー。
撮影場所は30年前、初めてつくった工場です。
「資金が少なかったので、自分たちで取り壊すのを条件に、いらなくなった学校の校舎を譲ってもらい工場を建てたのです。土台も型枠を作り、コンクリートを流して固めるなど、何から何までを手作りしたんですよ」
みんなで懐かしく想い出すの図。
写真は大島お土産バージョンの「海の精」
ペンションみなもとで味わった「明日葉、椿油の海の精塩炒め」
大島特産を使った一品。さわやかな明日葉と、まるでナッツのようなフレーバーの椿油で炒めたもの。海の精の塩があんばいよくきいて美味。
Topics: macrobiotic, ご当地もの | No Comments »