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December 16, 2013
朝カル12月「年末年始の純米酒」講座・樽酒
朝日カルチャーセンター新宿教室で「楽しむ純米酒」講座を担当しています。12月11日(水曜)は、新しい年にふさわしい純米酒をセレクトしました。
〜年末年始にふさわしい純米酒。蔵直送の新酒。樽酒。純米お屠蘇。純米卵酒〜 特集!
おめでたい名前「開運」の純米酒を蔵から直送してもらい、チリチリとガスが残るできたて新酒を味わったり、本物の屠蘇酒を純米酒と本味醂それぞれで試したり。そして、絶品!(と自画自賛する〜笑)カスタードクリームみたいなトロッとした卵酒もその場で作って披露。
お酒とおつまみの一部
そんな中、今回あらためて考えたのが「樽酒」です。
「新年だからこそ!改めて「樽酒」を考え、日本の心を学ぶ」
このことをお伝えしたいと思いました。
樽酒は、長龍酒造さんの「吉野杉の樽酒 雄町山廃純米酒」
その昔、酒造りは杉で出来た桶と樽がフル活用。桶で仕込まれて、樽に移され、売られ…と、容器はすべて杉材でした。
↑葛飾北斎画 「尾州不二見原」
後に、”タンクで瓶詰め” が常識となり、酒から杉の香りがなくなりました。
杉の桶は高価で、大量生産には不向き。木が酒を吸って不経済。温度管理、清掃もしにくい等で敬遠されてしまったのです。
ですが、今、見直される気運もあり、木桶仕込みを再現する蔵も現れました。
杉の香味成分は日本人は好きです。DNAに入っているのでしょうか。森林浴やひのき風呂。清々しい香りは、一瞬嗅ぐだけで、ほっとします。
樽酒造りには難しい点が多々あると、長龍酒造の橋本部長にお聞きしました。
杉のエキス分のいかし方、渋味との調和、まろやかなうまみ味と香りのバランス、これらの見極めは非常に難しく、蔵では杜氏以外に、熟練の「樽添師」が専任でつくそうです。
酒は出来てからも着色が進み、香りが消えやすいため、瓶詰め後にパストライザー(急冷装置)で急冷し、樽の香りと味を封じ込めるそうです。お蔵では、長く「醸造用アルコールを添加した酒の樽酒」しかありませんでしたが、酒米・雄町、しかも山廃仕込みの樽酒を2012年秋から発売。
橋本部長いわく、「ここに至るまで何年もかかった」と。ただ純米酒を詰めても、香りがつきにくく、味のバランスも納得いくものが出来なかったといいます。たまたま雄町の山廃2年熟成を入れたら、これがドンピシャで、製品化に。
◯「杉樽ってどんなもの?」
全国で放置林が問題となっていますが、樽には国内産の杉が使われます。長い目でみれば、放置林問題にも一役買います。問題の解決策は、国産の杉に価値を見出し、どんどん使うことにあります!
では、樽酒の樽ってどんな樽?
長龍酒造では樹齢80年以上の吉野杉「甲付(こうつき)樽」を使用。
樽には甲付樽と赤み樽の2種類あり。杉は表皮に近い部分が白く、中心の部分は赤。香り成分は赤みから強く出るそうです。「甲付樽」とは、外側が白い木目で見た目もよく、酒が浸かる内側が赤み部分となった白と赤の境目部分で作った樽。
◯樽酒は冷やと燗どちらもgood★
樽酒をひとくち飲むといきなりお正月気分!
不思議なもので、杉の香りの純米酒を口に入れたとたんお正月気分になりました。樽酒は、ひや(常温)だと、清々しい杉の香りがすっきり楽しめ、温めると香り+独特のコクがふくよかになります。甘さとうまみがやわらかに広がって味わいUP! お燗で飲む樽酒はおいしい。
橋本部長のおすすめは50℃にあげた燗酒を45℃で飲むこと
“燗ざめした酒の香味は落ちる”と言われますが、樽酒は杉樽のエキス分が味にあるおかげで「唯一おいしくいただける日本酒」とのこと。
純米樽酒は
冷やで飲めば、清々しい杉の香りと清澄な喉ごし。
温めると、香り+独特のコク、うまみの調和が楽しめます!
・
香辛料を使った料理、濃いタレを使う鰻蒲焼きや中華料理など、濃くてスパイシーな味つけにも相性良く、食中酒としても悪くありません。
こちらが
プレミアム樽酒 吉野杉の樽酒 雄町山廃純米酒です。プレミアムといっても720ml 1365円って、安すぎると思います。 |
お正月を迎える酒を考え、樽酒、杉樽を使う意味、意義を思ってしまいました。
日本人が考えなくてはならないことが、樽酒には全部つまっているように感じます。
2014年の新年は樽酒を飲んで、日本の山と木を生かす技術、伝統醸造について、考えてみてはいかがでしょう。ただし、中身はおいしい純米酒で!
●長龍酒造 吉野杉の樽酒story
朝カルの話 つづく
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