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April 12, 2014
獺祭・旭酒造の桜井博志さん「逆境経営」
獺祭・旭酒造の社長 桜井博志さんが本を出されました。タイトルは四文字!
発売直後に売切れ、増刷という
カネなし! 技術なし! 市場なし! つぶれかけた酒蔵の七転び八起き
ことわかりにくい日本酒の世界。それを、シンプルで力強い方法で切りぬけてきた桜井さん。銘柄は「獺祭」1銘柄のみ。すべて純米、しかも大吟醸。使用する酵母は9号で酒米は山田錦。ゆえに全商品、味の軸が揃い、精米歩合、搾り方違いで選ぶだけ。消費者にわかりやすいことこの上なし。
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やたら種類と銘柄が多く「売れない」と嘆く蔵元さんがいたので、獺祭さんのシンプル商品群の話をすると「あそこは売れてるから、特別」といわれたことが。
なぜか「売れないから、考えた」が通じないのです。売れない理由を酒以外にしたい感じです。売れる商品をつくる前に「負」の商品をなくすことからだと思うのですが。
これは、なにもお酒に限りませんが…。
以前、桜井さんに聞いた言葉で印象的だったのが
「獺祭は技術がないので、最高の酒米・山田錦で、純米大吟醸しかつくらないのです。100m競争で、5m先に出てスタートダッシュするようなものです」
「さすがに同じことばかり続けると、気づくことが多いですよ。そのつど改良を加えます」
「獺祭の雄町を飲んでみたい、獺祭の山廃を飲んでみたいという方がいますが、二度と騙されません」
好きなことをいう人は山ほどいます。どの意見を取り入れるか。
桜井さんはメールマガジンを書いてます。それをまとめたのが「逆境経営」で、本には大失敗した地ビールの話をはじめ、失敗談がわんさか。
●桜井語録
「地元でまったく相手にされず売れないから、泣きながら東京市場にいったんです」
「東京の酒販店で名刺を出したら ”はあ?山口?どこ、獺越?聞いたことないねえ。はっは〜、山口の〜、山奥の〜、ちーさな酒蔵かあ” と、バカにされましてね(当然取引ナシ)、その時は悔しかったです。でも、店を出て歩きながら思いました。まさにその通りだと、で、その言葉をいただきました(笑)」
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酒が売れないと嘆く社長さんに「情報発信したらいかがですか?」というと、「いや〜、そういうのは苦手で」という人が多いです。どんなにいいお酒をつくっても、伝えなければ存在しないと同じ。お客さんのほとんどは「飲む前に買う」からです。販売店で説明してくれると信じる蔵元もいますが、そんなことは期待薄だと
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最新の桜井さんのメールマガジンで「等外米」について書かれていました。等外米を使用した場合、純米づくりでも「純米」と名乗れません。辨天娘さんの「青ラベル」、諏訪泉さんの「田中農場」、大那さん、志太泉さんなども「等外米」のお酒を出しています。等外米は、量が半端で検査を受けていない米の場合もあります。
等外米について、日本酒好きでもご存知ない方が多いので、桜井さんに許可得て、以下、青字部分、原文ままで紹介します。
読みやすいように一部改行、写真を加えています。
■■■■ 蔵 元 日 記 ■■■■
旭酒造株式会社 http://www.asahishuzo.ne.jp/
2014年4月10日 vol.342
◆ 蔵元日記 【 等外米 】
「カンブリア宮殿」以降、お客さまの反応は大きなものがあります。その上、もしかすると皆様の目に書店などで触れているかもしれませんが、拙著「逆境経営」もダイヤモンド社から発刊となり、反応はさらに増幅されているように感じます。 この蔵元日記を読まれている方にはこの本がこれまでの蔵元日記の抜粋という事はお分かりでしょうが、先日7刷が行われ23,000部を数える事となりました。なんと23千部。23ですよ。二割三分です。駄洒落に喜ぶ私を、周囲のみんなは「あほか」とあきれております。
しかし、そんなおめでたい私の反応は別にして、結果として、お取引酒販店の店頭から「獺祭」が消えてしまっている現実があります。
お客様にご迷惑をかけている現状はどうにもならず、ただただ、皆様のご愛顧とそれに応えられない弊社のふがいなさに頭を垂れるばかりです。(ありがとうございます。そして申し訳ございません)
「こんなときにメディアに嬉しそうに出るな」という酒販店や飲食店様のお叱りを受けることも多いのですが、そもそも、40年間で石数が三分の一になってしまった日本酒業界の現状を考える時、「日本酒ってすごいんだ」「かっこいいものなんだ」という事をアピールしなければいけないと考えています。出しゃばり続けていますが、今少し、ご猶予をお願いします。
とにかく、
「獺祭ってあんなに造ってどうするんだ」(幻の酒にしたくない)
「大量生産で適当に造ってるんだろう」(酒蔵を実際に見に来てください。そして若い社員達の眼を見てください)
「獺祭は酒は美味いが文化がない」(これは少し嬉しい。してやったり)
「獺祭が山田錦を使いすぎるから」(その前に山田錦の産地を見捨て続けた酒造業界の責任はどうするの)
などと非難を浴びながら、獺祭の石数を増やし続けてきました。
しかし、現状の品薄は私どもの歩んできた道が間違っていなかったと確信できるものです。もっとも(印象としては)同じ人から、「そんなに造ってどうする」と「なぜ、こんなに酒がない」と、正反対の二つの非難を浴びているような気がしますが。
そんな話はおいといて、新しい製品を出します。それは「獺祭等外」言葉通り、山田錦の等外米を使用したお酒です。従来、等外米の山田錦を使用すると特定名称表示ができなくなるので、私達には使う事ができませんでした。(もっとも、隠れて使用していた酒蔵もいたらしく、それが最近の偽装表示などで表沙汰になったりしました・・・、灘の大メーカーまで!! うーん!!)
とにかく使わなかったのです。しかし、山田錦を栽培するとき5%から10%程度の等外米は発生するといいます。
私どもは最近、山田錦を栽培した事がない農家にも「山田錦を栽培してください」とお願いしております。これで、一定量出ると予想される等外米を「弊社では買えません」ではあんまりです。これでは「農家にリスクを押し付けるが酒蔵はリスクを取らない」といわれても返す言葉がありません。
そんな理由で山田錦の等外品も今年から購入させていただいて酒を造る事にしました。今年はまだテスト醸造のようなもので750kg仕込み二本と小規模なものです。残念ながら、お取引先に配分するほどの量にならず、ほとんど自家消費のようなものになるかと思います。
ところで、等外米は粒ぞろいが悪いのが特徴ですので、麹は普通の等級付き山田錦の50%精米を使用しましたが、掛け米は等外米のみです。
ちなみに精米歩合は35%まで磨きました。
つまりY・K・35(!!)です。
実は、精米担当のほうからは10%余計に磨くと正規米と同程度という報告は受けていました。つまり、40%まで磨けば50%と同等という事ですね。しかし、それでは面白くないので、さらに5%磨け、と指示して35%まで磨かせたわけです。
勿論、等外米を使用しているわけですから、純米大吟醸表示は無しです。
普通酒という事になりましょうか。このお酒、もしどこかの酒販店の店頭で目にとまったら手に取ってみてください。「作ってもらった山田錦はキチンと美味しい酒に仕上げる」、表示法など色々足枷はあってもお役所感覚でなく本当に社会にとって何が大事か考える。獺祭の新たな一歩です。
山田錦の全国生産総数30万俵を60万俵におしあげて、TPPにも負けない日本の農業を創るお手伝いを獺祭はしたいと思います。
◆蔵元の蛇足◆
農水省のホームページによると、日本の米の総生産数量は8,483,000トンだそうです。すると昨年度の日本酒業界が使用した酒米の総数は24万トンですから約3%弱。そして獺祭が使用した酒米は41,000俵強で2400トン。つまり日本の米の3%が酒米でその1%は獺祭だという事です。
(日本酒の総販売数量に占める獺祭の割合ははるかに小さいのですが、表示上は別として本質的には純米大吟醸だけですから普通の酒蔵の4倍の使用数量がありますから)
何を言いたいかというと、日本の農業がかわる土壌は私達にも少しですが作る事が出来ると考えているという事です。
◎蔵元日記
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「志」! 博志の志!ぷっ!
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蔵からのお知らせも追記
↓
【定価を超える「プレミア価格」販売店につきまして】
近年、蔵の拡大、そして獺祭の原料となる山田錦の生産農家の方々にも生産量を増やしていただくようにしておりますが、それでも米が足りない状況で、皆様にはご迷惑をおかけしております。
一部、ネットや販売店などで定価よりもずっと高い価格で販売している所が増えていますが、私たちの正規のお取引先は全て定価で販売しており、このような「プレミア価格」などは一切付けておりません。
定価はこちらをご覧ください。
http://asahishuzo.ne.jp/products/items/item.html
正規お取扱店につきましてはこちらをご覧ください。(納品数量を限らせていただいておりますので現在売り切れの場合はご容赦ください)
http://asahishuzo.ne.jp/store/ja/index.html
また、これら正規のお取引先では、冷蔵管理からお客様への説明まで、獺祭をより美味しく飲んでいただくための管理が行き届いていますが、それ以外ではこれらが保障できず、味落ちしている可能性がございます。美味しい酒を皆様に飲んでいただきたい中、とても辛い状況ですが、ご理解いただけると幸いです。いつも、ご愛飲どうもありがとうございます。
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獺祭さん関連blog
●blog 2013獺祭Store & 獺祭Bar23
●blog 2010近藤さん+musmus+獺祭
●blog 2009獺祭 新酒の会
●blog 2009日本酒を飲む器。獺祭の提案
●鈴木真弓さんblog『獺祭』の躍進と國酒から考える日本の未来–
●【獺祭】ほこたて、で勝利した日本酒蔵元がMLで激しく正しく謝っている
●伝統産業であっても、伝承産業ではいけない革新を追い続けることこそ日本酒の伝統だ 佐藤祐輔新政酒造社長×桜井博志旭酒造社長 対談
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