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September 11, 2008
酒造家・喜久醉の青島孝さん
鈴木三河屋さん主催で静岡県の蔵元、青島酒造「喜久醉」の勉強会が神田で開催。蔵元であり杜氏をつとめる青島専務の話がみっちり聞ける好機会!
右が三河屋さんの大熊さん。そしてその左はなんとあの方!そしてその左が青島孝さんです。めくるめく週末の始まり。
青島酒造の蔵の理念は「安い酒こそ丁寧につくれ」 。高い酒はよくて当たり前。今は特定名称酒が8割、普通酒が2割。
「普通酒、大吟醸ともまったく同じ意識レベルで、緊張感をともなって仕込んでいます。よく、どのお酒が好きですか?と聞かれますが、子供と同じで、どこ子もかわいくて優劣つけられません」
農家の松下明弘さんとタッグを組み有機栽培で山田錦を育てる青島さん「酒づくりは農家に限りなく近い」米の成長を毎日見ているからこそ、酒が仕込めるのだといいます。
この日のラインナップ! 9種類
さて、NYで仕事をしていた青島さん。静岡に戻って酒をつくる。藤枝の地で酒をつくる意味を考えたそうです。「土地の良さ、気候、風土を大切にすること。それは土地の水、土地の米、そして技を最大限に生かすこと。結果的にそれが喜久醉の個性、特徴につながっています。土地の恵みの酒づくりを何よりも大切にしています」
蔵元訓
天の恵みに感謝する心=農
本物を追求する職人の気質=工
顧客とともに反映できる能力=商
この3つで蔵が成り立つ
「酒を醸すものには、人を思いやる心、道具をいたわる心、酒を慈しむ心が大事。これらがすべて調和して、心をひとつにすることで良い酒が生まれます。蔵人にもいい緊張感があります。彼らは同士。共通の感性を持ち、言葉がなくても通じます」
さて、本日の9種類です。えっ、あの松下米の14BY???
鈴木三河屋社長、鈴木さんの秘蔵品だそうです。
「普段お酒を飲んでいない人でも楽しめるような麹づくりをしています。香りおだやか、味きれいで飲みやすい。河村先生の指導です」。
昨年の米は堅くてとけにくく、水が吸いにくかったそうです。見た事がない堅さだったとか。山田錦は本来、とけやすく、水が吸いやすいため、水につける時間は非常にデリケート。浸水時間は秒単位で、ストップウオッチで計測しています。
米洗いは必ず手洗いという青島さん。なぜかというと「米洗いの時に、手に当たる感覚が重要。例年のデータは役に立ちません」
なによりも手でさわった感じ、米の声を聞く事が大事。五感がフル回転!なんだとか。
とはいえ、5秒違うと蒸し上がりが違ってしまうほど繊細。19BYの時は、例年よりあまりにも長いため、みんなが心配顔で青島さんを見守ったとか。
「データは後で結果がわかるもの。最終の現場で、時間はどうするか、何度にするの判断は、なめて、かいで、泡の音を聞いて判断です。夏場に米作りをしていることが役立ってます」
今年は山田錦の花の咲く瞬間を見るため、朝5時からまばたきするのも勿体ない気持ちで3時間待ったとか。
「風がやんで静かになった瞬間に、パッとはじけるように咲くんです! 植物のものすごいエネルギーです。ポン、ポン、ポンとはじいて雄しべがでる。松下さんも咲く瞬間は初めてで、ふたりして泣きそうになりました!」
稲の花、閉じるときはゆっくりなんだそうです。
「一瞬のエネルギーは感動的。ますますかわいくなって! 今回も帰ったらすぐに稲をなでにいきたい」
質問タイムでは兵庫と徳島と松下さんの山田錦それぞれの違いや特徴、そして「喜久醉」ラインナップの考え方、あらばしりや中取りをしない理由、調和について…など酒造家としての考えをたっぷりお聴きしました。
一滴たりとも無駄にできないと心に誓った次第です。ちなみに青島さんの主食は玄米。
鈴木三河屋の大熊さんお世話になりました!
そして次の日は、「静岡県のお酒の会」ここでもまた静岡のお酒について勉強するやまよでありました。
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