日本酒手帖2014
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November 15, 2014とうとう発売になりました!
おかげさまで「厳選日本酒手帖」アマゾンの部門別一位になりました。
ありがとうございます!
この本は、手帖サイズの小さなハンディ本ですが、小さい中に思いをぎっしり詰め込んでいます。
お酒は、米から真剣に考えた酒蔵の純米酒を紹介。米から造る日本酒は、この国にとって深い意味を持つこと。田んぼだけではなく、山の杉も重要な役割をしていること。農業、林業、窯業まで、伝統産業が深く関わる日本酒。少しでも興味を持ってもらえたらと願って編集しています。
とはいえ、誌面がまるで足らずで、ご紹介したいお酒全部とはいきませんでした…。
何かの機会に見ていただければ幸いです。
/何かの機会に見ていただければ幸いです。
●竹鶴酒造さんでの訂正
広島県・竹鶴酒造さんの商品で、通年商品にも関わらず、販売期間が6〜8月と記載されたお酒があります。赤字修正が反映されなかったもので、通年商品の間違いです。申し訳ありません。ただし、今、大人気銘柄のため、お待ちいただく場合があるかもしれません。
竹鶴の石川杜氏のお言葉は、毎回はっとさせられることばかり。常に「酒とは何か」を考えさせられます。今回の本で、寄稿していただきました。 竹鶴酒造のこと、石川杜氏のこと、あらためてご紹介します。
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●英語でひとこと
この本を編集するにあたって、酒蔵さん、酒販店さんにアンケートをお願いしました。それが面白いので、誌面に掲載できなかった情報を少しずつ紹介していきます。
じつは、推薦するお酒について、皆さんに「英語でひとことでいうなら?」を答えていただいのですが、それを読んだネィティブのプロ翻訳者が「???」と。これでは意味が伝わらない…と。校了日前日に、全部外すという事態に。デザイナーの木村さんには、本当にご迷惑をおかけしました。ひとことで表すのは面白い!と思ったのですが…企画倒れの巻。m(__)m
森谷家の御馳歩「あんだらしたいい味」
November 11, 2014ひとつ前のブログの続き。天の戸・森谷杜氏にお料理についてお聞きしたこと(以下の赤字部分は杜氏に伺った言葉)酒肴のヒントがいっぱいです!
●天の戸さん訪問記→ http://www.yohkoyama.com/archives/44152
うちのお袋様は
「あんだらしたいい味」とよく言います。
丸みのある整った味付のことです。
「まったり」に近いと思います。
糀、みそ、酒かすを使うと、そういった味付けの料理ができるようです。
◎ アスパラ、長芋の〈浅〉粕漬け 森谷亮子作
酵母たっぷりの酒香寿を食べてもらうのが目的で考えました。
つまりまぶしたまま洗いません。氷温貯蔵の板粕を使います。
アスパラはお湯をくぐらせ、長芋は皮をむいて二つに割って漬けます。
味噌1に対しかす3ぐらいで砂糖をちょっと入れ、味醂でゆるめます。
他のいろんな野菜が可能です。
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◎ ナスのかすまぶし漬け 森谷タマ 作
糀とご飯でつけたナスに熟成かすをまぶします。
この時和芥子を使うことで風味が良くなります。
お茶うけにはお好みでお砂糖をちょっと使います。
セロリも美味!
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◎ 5年ものカリフラワーの粕漬け 森谷タマ作
国宝級の迫力!
◎ 5年ものカリフラワーの粕漬け 森谷タマ作
カリフラワーは大きいものは1/4、小さいものは半分にして、強めに塩漬けします。
それを十分旨味ののった熟成かすに漬けます。
カリフラワーの塩分を酒かすに移し、入れ替えにかすの旨味を染み込ませます。
塩分と旨味のやりとりです。それをかすを取り替え五回繰り返します。
カリフラワーは酒かすエキスの塊となります。
漬け込みに使ったかすも美味しくなるので、チーズに絡めてみました。
お好みで水で溶いたワサビをかけても美味しくいただけます。
歩いて集めた地の素材を、地の発酵調味料で料理。
だから、地の酒(半径5kmの米と酒!)天の戸に合うわけです。
森谷家の「ご馳歩」でした!
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そしてひとつ前のブログで紹介した芸術的な飾り巻き寿司
◎ とらかわ花巻寿司 森谷亮子作
小麦粉、牛乳、砂糖を使った、ふっくらした「虎かわ玉子焼き」でお寿司を巻きます。
薔薇、椿、桃の花です。
彩りの野沢菜やヤマゴボウが食感もよくします。
寿司ご飯は、あきたこまちに、その1/4のもち米を加えます。
一升の米に対し一合のお酒を使います。
おいしいお酒を使うとおいしい寿司飯になるようです。
今回は、「美稲」を使いました。
天の戸・森谷康市杜氏の田圃
November 5, 2014収穫前の天の戸・美山錦田圃 photo 森谷康市杜氏
これから発売になる「日本酒手帖」ですが、編集するにあたって酒米の田圃がよく伝わる写真を探しました。一番田圃のいいところを撮影できるのは、育てている本人でしかありえません。しかも、写真が上手となると非常に限られます。
この人は!と見込んだのは、「天の戸」醸造元・浅舞酒造の森谷康市杜氏。お願いしたところ、それは素晴らしい写真をお持ちでした。杜氏の田圃の酒米は「美山錦」です。
以前、杜氏がぶどう畑で「おいしいものができる畑は美しい」と。酒米の田圃もそうなのだと染み入る写真ばかり。緑色の文字は森谷杜氏にいただいたコメントです。おいしい日本酒の背景には、こんな感動的な田圃があるのです。
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天の戸・森谷杜氏の田圃
Gallery
この風景をビンにつめたいと思います。
春は一面が水鏡。奥羽山脈に端を発する皆瀬・成瀬の川は横手盆地に沃野を生み、広大な田んぼをうるおします。
そして、その川の一部が伏流水となって蔵の近くに仕込み水となる湧水群をつくります。
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慣行栽培の半分まで農薬を減らし化学肥料も極力減らした「特別栽培米」。
少しずつ虫が増えました。少しずつタニシが増えました。
明け方、細かい霧をまとったクモの巣が逆光に浮かび上がります。
そろそろタニシを食べにカラスやサギがやってくる頃。
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稲は雨が降ろうと風が吹こうと受粉します。
それは「もみがら」というカプセルのなかでの交配となるからです。
われわれが稲の花と思っているのは受粉の役目を終えた雄しべが「受粉完了しました」の合図に出てきたところを見ているんですね。
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秋に靄のかかる土地は良い米ができるとききました。
雨がふらなくてもこの露が稲の穂を保湿し、稲の枯れ上がりを防いで稔実を高めます。
コロコロした厚みのある酒米ができます。
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雨が降ると葉を広げます。風が吹くと根をしっかり張ろうとします。
お天道さまが照らない日もしっかり仕事をしています。
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酒米は一般に大柄な稲が多いです。
その体についた茎だから太いはず。
でも米が充実してくるとその重みで太い茎をしならせます。
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酒米・美山錦
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撮影すべて浅舞酒造・杜氏 森谷康市さん
天の戸・浅舞酒造facebook